胸が熱くなった…
B学童の二年生の男子のYT君は、色白で痩せていて、アトピーが少々きつくて切れ長の目が涼しくて、じっとしていられない、自由な行動をとってしまう子である。(2017・8・23を参照下さい。)
彼には、保育園に預けられている小さな弟が二人いる。お母さんの仕事はマスコミ関係でとても忙しい。延長保育の時は時々お父さんが迎えに来る。
彼と距離を縮めたのは、けん玉がきっかけだった。けん玉には『10回の試技中一回大皿に乗せられたら10級合格』などの検定がある。
少し発達障害の傾向のある子ども達は先の見通しがはっきりしてる遊びが好きだ。頑張れば、級が上がっていく為、自己達成感も味わえるけん玉にハマる子ども達は多い。拘るといつまでも、けん玉を握ってカチカチやっている。
YT君も私の目論見通りにハマってくれた。私にもとても心を許して遊んでくれるようになった。学習タイムはいつも私の膝の上が指定席だ。
そんな彼と遊んでいたら、施設の玄関からそっと中を除きこむ顔が見えた。
YT君と、とても仲良しだったRY君だ。RY君は、ご両親の都合で今週東京から500km以上離れた遠方に引っ越す。学校に挨拶に来たらしい。学童は先週退会している。
RY君は、大きな目に涙を溜めていた。
彼は普段から可愛らしい高い声でゆっくりとお話しする、それは優しい子だ。
YT君は、黙っている。この沈黙が切なくて、私ももう一人その場にいたスタッフも目元を押さえずにはいられなかった。
RY君のお父さんが
「YT君!仲良くしてくれて本当にありがとうな!」
RY君が、
「YT君、元気でね…」声を絞り出した。
YT君は、しばらく黙ったままでいて、
俯いたまま、一言
「うん…」とだけ言った。
そのあと、フツーに遊べていたが、YT君の心の内を察すれば、今週は出来るだけ彼の遊びに付き合ってあげようと心に決めた。