闇は想像したより、深いかも。
B学童の三年生のTM君は、他の子と比較して精神的に酷く成熟していて、大人も含め、人に対する言葉が酷くて、ちょくちょくとても人のカンに触る物言いをするせいか、嘘を頻繁につくせいか、勿論それらのせいだけじゃないのだろうが、今いじめにあっている。(2017・10・14の記事をご参照ください。)
身なりや見た目は、小綺麗で、顔もそこそこ整っていて、キモいという表現からは遠い子である。
今日も、三年生の部屋の担当になった時に、彼がロッカーにランドセルをしまおうとしている後ろからMT君の脇腹をキックしたり、わざと側を通り、肩をぶつけたりする三年生たち。最早、クラス関係なく、女子も男子もMT君に対して酷い仕打ちをする。
学習タイムは自由席だが、どのテーブルへ行っても、
「MT、ウゼエからここにくんな!!」
「あっちに行ってよ!キモい!」
「おめえの前に座りたくねえんだ よ!!」
などなど、彼がドリルを広げようとする先々で、皆んなからここに来るなと言われ、挙げ句の果て、受け付けの常勤スタッフの隣の特別席で宿題をすることになった。
私はB学童では、年末から三年生を担当することが無かった為、こうまでひどいことになっているとは思わなかった。
それを見て私はすぐにイジメとも言える暴力をしたり、言ったりした子たちと15分くらい戦ったが、(かまってちゃんが多いので追いかけると笑いながら喜ぶ。)キリがないので、何人かのお尻を叩いたあとに、彼のそばに座って、勉強を見ていた。
そして、
「あのさ、なんでこんなことになっちやったのかな?」
と、何か言って欲しくて彼に尋ねた。
饒舌なTM君は、
「俺は、皆んなに叩かれたって、蹴られたって、全然痛くないから…」
と小さな声で応えた。
そういうところが生意気に見えて損してるんだよなと考えていたら、更に小さな声で、
「俺のお父さんにされる方が一億倍痛いから…」
と言った。
この私がそれを聞き逃すはずはなく、
「えっ!それってお父さんが貴方に暴力を振るうってこと⁈」と私なりに精一杯小さな声で聞くと、
うんと頷く。
彼には年の離れた高校生の兄がいたはずだ!
「お父さん、お兄さんにも、暴力振るうの?」
「もしかして、お母さんも⁈」
(これは、わたしがお母さんも振るわれているのか?の意味で聞いたのだが…)
「兄貴もやられてる。お母さんは天使。」
「お母さんに暴力振るわれたことはない。」
私は言葉足らずに気づき、
「そうじゃなくて、貴方もお兄さんもお母さんも三人ともお父さんに暴力振るわれてるの?」
と聞き直した。
「うん。」
「それって、お父さんがお酒飲んでいる時?」
「違うよ。飲んでいなくてもいても。でも、お父さんが正しいからそれでいいんだ。」
いやいやいや。暴力がどう正しいのだ。
「あのさ、それって家庭支援センターとかにお母さん相談してるのかなぁ?
それとも、他の誰かに。」
急に彼が身構えた。そして、
「うちはそれでやってるから、そういう家だから、いいの。そういうの全然いいから。」
「担任の先生にはこのこと話したことある?」
「してない。」
MT君の行き過ぎた言動には、バックがそれも相当危なっかしい裏事情があったのだろう。
それで、パズルが繋がった気がした。
私はそのあとはこの話はストップして、彼がしたがっていたカードゲームや何かで、彼の帰る時間まで遊びに付き合った。
そして、すぐに施設長にことの次第を話した。学校に知らせて、確認をとるとのこと。
彼は一年生の時に隣のA地区からこちらのB地区に引っ越して来ていて、転校もしている。そこいら辺にも何か事情がありそうだ。
施設長、その他の常勤も他の子ども達にMT君がそこまで酷い目にあっていたことにすら、気づいていなかったようだ。
情けない…
全児童受け入れで子どもが多過ぎる中、こうやって犠牲になっている子が何人いるのだろう?