子どもが眠れないって、なんなの?
毎週日曜日に開けている私達の児童館にこのごろちょいちょい顔を出すようになった三年生のKM君は、A小学校に通っている。容姿も体格もフツーの子だ。
着ているものも、喋り方も顔立ちも特に目立ったところがなく、何度か来てくれているのだが、なかなか名前も覚えられなかった。
彼が、暗闇鬼ごっこに興じて、一段落してから私に
「○○さん、これ持っていて。」
とキッズ携帯と自転車の鍵を渡して来た。
私は彼とはあまり話したことがなかったので、ここぞとばかりに
「鬼ごっこ、楽しい⁈」
と聞いてみた。
「うん!でも、寝不足で走るのちょっときついんだけどね。」
とKM君。
「えっ、昨日どれくらい寝たの?」
「1時間ぐらいしか眠れなかった!」
「えッ?なんで?」
「色々考えちゃって寝られなかった。」
「色々って?…」
「まあ、ストレス溜まることたくさんあるんだよ。」
「………………」
彼は少し話したそうだったが、時計が6時を回ったので、自転車にまたがってそのまま帰って行ってしまった。
少し、大袈裟に言っているのかもしれない。でも、こんなウソはつかないだろうと踏んだ。逆にウソつくほうが心配だ。
何時間眠れているかは置いておいて、彼がストレスを抱えているのはきっと本当だ。
私が平均値と勝手に思っていたKM君。
こんな子でも、眠れないと言ってくるほどに何か抱えている。
狡い大人達だけが、自分さえよけりゃの気持ちでいい思いをして生きている今の時代、社会のしわ寄せはみんな子ども達にむかっている。
子ども達の心の痛みに気づかせられる度に、なんとかしなきゃと思う。