私はまだまだ修行が足りないねぇ。
B学童で先日行われた将棋大会がキッカケとなり、将棋が又ブームとなっている。
特に、一二年の間でとても流行している。
先日、二年生の中でも将棋が好きで、弁も立つ些か生意気なMA君と対戦した。
私が負けた。
途中、
「○○さん、案外雑魚だなぁ」
とか
「何、やっちゃってるのー」「○○さん、もっと本気出せばー」
などと、屈辱的な言葉のシャワーを浴びせられ続け、少しキレた私は
「勝ったMA君が片付けてよね!」
と、不機嫌な顔をして言い放ってしまった。
その日のオヤツ(捕食)のあと、MA君と三年生の二人組が将棋を始めた。一対二の対戦だ。
二人が普段過ごす別棟ではそれ程将棋は流行っていない。
そして、二人ともなかなか賢いがなかなかやんちゃで、外遊びにも積極的だ。
私は興味津々で、この対戦を見守った。
例によって、二年生のMA君は三年生二人をディスりながら、煽りながら、勝負を自分の有利な展開に持って行く。三年生二人も必死だ。無言のまま、相対している。
二人のうち、一人が時間が来て先に帰った。
残った三年生の二人組の片割れのKA君は、無言で頑張り続ける。
MA君は、口の片方を持ち上げ、上から目線でニヤついている。
KA君は、もうすでにあと幾手かで、詰まれてしまいそうだ。
その時、私は悔しそうに俯いて頰を赤らめているKA君の物凄く悔しそうな目に気付いた。目の淵が赤らんでいる。悔しいに決まってる。でも、表情は決して崩さない。
KA君はひたすらに沈黙を守り、静かに自分の『王』が捕獲されるのを頑張って先延ばしにしようと考えている。
MA君は、あの時こうしておきゃぁ良かったのにね。などと偉そうにのたまっている。
でもKA君は静かにその勝負を終わらせた。最後まで大人で、とても立派だった。彼の我慢強さに驚かされた。以前も今も結構、理屈っぽくて大人をやり込めるタイプだったKA君のそんな一面を見ることが出来て嬉しかった。気持ちが温かくなった。
こうやって、大人の気づかない所で子どもはどんどん成長している。素敵だ。