たかがノートのことだけど。
A学童の三年男子のKO君は、いつもニコニコ笑顔で明るく、若干お調子者の甘えん坊な男の子だ。
KO君のお父さんは昨年から長期の病気療養中で、今はお母さんがパートの掛け持ちで忙しく働いている。
KO君は、ここ一週間算数のノートをずっと買わないでいるため、学童でマス目のついたノートをコピーして貼り付けてきた。が、いよいよそれもノートの厚み的に限界になってきた。📕
私は彼に何でノートを新しく買って貰えないのか、聞いてみた。
「だって、お母さんが買うの、忘れちゃうんだもん。お母さん、オレが寝る時に帰って来て又すぐ行っちゃうんだもん。」
KO君の言うことには、時々可愛い本当とも冗談ともつかぬ話が混ざることがある。たぶん、彼が自分が忘れっぽいことの言い訳でそんなことを言っているのだろう。いやもしかして、ノートが買えない程に家計が逼迫してはいないか。でも、KO君のこざっぱりとした普段の衣服から判断して、そこまでではないとふんだ。
いずれにせよ、このままにしておいては、学校の先生にも迷惑をかけることになる。しいては、それ程勉強を得意としないKO君の評価を更におとすことにもなりかねない。
お母さんにノートのページがなくなっていることは伝わっていない。恐らく。
私は些か乱暴だが、
「KO君、ちよっとこっちおいで!」
と彼の腕を掴み、赤マジックペンで彼の手の甲に、✍🏻🖍
『お母さん ノート』
と書いた。
翌日、KO君は新しいノートを持って来た。✨📔✨
昨晩、私が自分の脂肪肝を気にして必死になってウォーキングしていたところ、🏃🏻♀️バッタリKO君のお母さんに会った。私は自分のした乱暴な伝言の仕方を誤った。
お母さんは笑いながら、
「お陰様で…KOが忘れちゃっていて全然教えてくれなかったから、助かりました。」
と応えてくれた。そのまま、私達は十分程KO君のことで、立ち話を楽しんだ。
ホッとして、私は気持ち良い秋の夜風を
感じながら、家路についた。🍂🌃